SHORT SUMMARY

屁の短いあらすじ

級長の春吉は、貧しく周囲にからかわれる石太郎を見下しています。教室で屁の騒ぎが起こると、皆はいつも石太郎のせいにし、先生も叱ります。ところがある日、本当は春吉がしたのに、また石太郎が責められます。春吉は名乗れず、自分の正しさが傷ついたことに悩みます。やがて悩みは薄れますが、以後は皆の決めつけを簡単には信じなくなります。

THE STORY

始まりから結末まで

01 / 物語の流れ

石太郎を決めつける教室

石太郎は屁が上手だと子供たちに面白がられる一方、軽蔑もされています。病床の祖父と暮らし、魚を捕って食べさせるなど厳しい生活をしていますが、周囲は服や臭い、振る舞いをからかいます。

春吉は級長で、自分を正しく優れた子だと思っています。町から来た若い藤井先生に憧れ、石太郎の存在を自分の組の恥のように感じます。見栄や都会への憧れも、相手を見る目を狭くしています。

02 / 物語の流れ

先生も同じ扱いを続ける

最初は都会風だった藤井先生も、次第に村の生活に慣れます。石太郎と協力していたちを捕まえる場面では、普段とは違う少年の真剣さや敏捷さが見えます。

それでも教室で臭いがすると、皆が騒ぎ、先生が犯人を尋ね、石太郎が責められる流れが繰り返されます。誰がしたのか十分確かめないまま、いつもの人物に落ち着くことが当たり前になっています。

03 / 物語の流れ

本当は春吉なのに、石太郎が責められる

粘土で茶碗を作る授業中、春吉は作業に夢中になり、自分が屁をしてしまいます。周囲が騒ぎ出すと、顔が熱くなり、今度は自分に非難が集まると覚悟します。

しかし皆はいつもどおり石太郎を指します。先生が向かう短い間に、春吉の中で正義感と恥ずかしさが争います。結局名乗れず、石太郎は否定もせず叱られます。春吉は完成しかけた茶碗を握り潰します。

04 / 結末

悩みは薄れても、疑う目が残る

帰宅後も春吉の悩みは続きます。ただし中心にあるのは、石太郎への謝罪より、自分は正しい子だという像が汚れた不快感です。相手はいつも叱られて平気だ、などと自分に都合のよい考えまで浮かびます。

十日ほどで悩みは薄れますが、その後同じ騒ぎが起きても、春吉は簡単に石太郎のせいとは信じません。ほかの誰かも自分と同じ経験をしたのではないかと周囲を見るようになります。立派な告白で解決する結末ではありません。

登場人物と役割

春吉
級長の少年。自分の正しさに自信を持つ一方、恥ずかしさから真実を言えません。
石太郎
貧しい生活を送る同級生。からかいや決めつけの対象にされます。
藤井先生
新しく来た教師。石太郎を一方的に叱る教室の習慣に加わります。

STORY MAP

事実・周囲の判断・春吉の内面

場面
本当の出来事
判断や気持ち
普段の騒ぎ
誰がしたか十分確かめていない
皆が石太郎のせいにする
粘土の授業
春吉が屁をする
春吉は恥ずかしく、名乗れない
石太郎が叱られる
春吉は真実を言わない
自分の正しさが傷ついたと悩む
その後
告白は描かれず、悩みは薄れる
同じ決めつけを簡単には信じなくなる

春吉の自分を守る考えと、語り手が示す出来事を分けて読むための表です。

よくある疑問と解説

最後に春吉は謝りますか?

謝罪や告白は描かれません。悩みが薄れ、ほかの人を疑う見方が残るところで終わります。

石太郎は春吉をかばったのですか?

石太郎は否定しませんが、その心の中は確定できません。春吉は鈍いだけだと考えますが、それは春吉側の見方として読む必要があります。

笑い話ですか?

題材には滑稽さがありますが、中心には偏見、身代わりにされる弱い立場、自分を守るための沈黙があります。

この物語を振り返る

「本当に誰がしたか」「皆が誰だと思ったか」「春吉が自分をどう見たいか」を分けると、物語の痛みが明確になります。正義を知っていることと、その場で正しく行動できることの隔たりが描かれます。

この節は作品を読むための一つの見方です。

出典・原作について

あらすじは原作を参照して独自に再構成しています。本文の出来事と、当サイトの解釈は区別して紹介しています。

青空文庫:新美南吉「屁」原文

原文確認:2026年10月25日。挿絵は原作に着想を得たAIによる創作イメージです。情景や服装等は想像を含み、市販本の表紙・挿絵ではありません。訂正のご連絡はお問い合わせからお願いします。