SHORT SUMMARY

仙人の短いあらすじ

仙人になりたい権助は、大阪で奉公先を探します。医者の妻は、二十年ただ働きすれば術を教えると嘘をつき、権助を使い続けます。約束の日が来ると、妻は無理なことをさせようと庭の松へ登らせ、両手を離すよう命じます。ところが権助は落ちず、空中に立って礼を述べ、雲の中へ昇っていきます。

THE STORY

始まりから結末まで

01 / 物語の流れ

死なない仙人を目指す

大阪へ来た権助は、職の紹介をする口入れ屋で、仙人になれる奉公先を探してほしいと頼みます。豊かな暮らしをしても人は死ぬ。それなら不老不死の仙人になりたい、というのが権助の望みでした。

困った番頭は医者の家へ相談に行きます。医者の妻は、仙人にしてやれるから連れてこいと申し出ます。しかし本当に術を知っていたわけではなく、権助を都合よく働かせようと考えていました。

02 / 物語の流れ

二十年間、給金なしで働く

医者の妻は、二十年奉公すれば仙人になる術を教える、その代わり給金は出さないと約束します。権助は仙人になれるならと喜び、条件を受け入れます。医者も、その取り決めを止めません。

権助は水汲み、薪割り、炊事、掃除、薬箱を持っての供など、さまざまな仕事を続けます。金を求めず誠実に働く二十年が、主人側にとっては便利な利益、本人には夢へ向かう時間になっています。

03 / 物語の流れ

約束を果たせない夫婦

二十年が過ぎ、権助は主人夫婦に礼を述べ、約束の術を教えてほしいと願います。医者は困り、知っているのは妻の方だと言って責任を逃れます。妻はまだ平然としています。

妻は命令どおりにできなければ、さらに二十年ただ働きしなければならないと脅します。そして権助を庭の松の高い梢へ登らせます。無理な課題で失敗させ、約束をごまかすつもりなのです。

04 / 結末

権助は落ちずに空へ昇る

妻は右手、次に左手も離すよう命じます。医者は落ちれば危険だと心配しますが、妻は押し切ります。権助が両手を離すと、体は落下せず、驚くことに空中で止まります。

権助は一人前の仙人にしてもらったと礼を述べ、青空を歩くように雲へ昇っていきます。医者夫婦がその後どうなったかは誰も知らないと語られ、庭の松についての伝承が添えられて終わります。

登場人物と役割

権助
仙人を願い、約束を信じて二十年奉公する男。
医者の妻
仙術を知らないまま約束し、権助を無給で働かせる人物。
医者
妻の嘘を知りながら権助を使い、最後には危険を心配します。
口入れ屋の番頭
権助と医者夫婦を引き合わせます。

STORY MAP

同じ約束を、正反対に受け取る

権助
医者の妻
仙人になる術を教えてもらえる
給金なしで働かせられる
二十年の奉公を果たす
約束を守る術を持っていない
命令どおり松で両手を離す
失敗させて奉公を延長するつもり
空へ昇り、礼を述べる
計算の及ばない結果に出会う

不思議が起きる仕組みは、原作では説明されていません。

よくある疑問と解説

医者の妻は本当の仙人だった?

仙人になる術は知りません。権助をただ働きさせ、最後も失敗させて約束を逃れるつもりでした。

権助が飛べた理由は?

原作は仕組みを説明しません。信じ抜いた者と計算ずくの者の逆転として読めますが、術の理論が書かれているわけではありません。

同じ題名の作品がある?

芥川には同名作品があります。このページは大阪の権助が登場する、大正十一年の『仙人』を扱っています。

この物語を振り返る

約束を利用して利益を得る側と、約束に人生をかける側が対照的です。結末では、最も世間知らずに見えた権助だけが、夫婦の計算を超える世界へ抜けていきます。

この節は作品を読むための一つの見方です。

出典・原作について

あらすじは原作を参照して独自に再構成しています。本文の出来事と、当サイトの解釈は区別して紹介しています。

青空文庫:芥川龍之介「仙人」原文

原文確認:2026年10月25日。挿絵は原作に着想を得たAIによる創作イメージです。情景や服装等は想像を含み、市販本の表紙・挿絵ではありません。訂正のご連絡はお問い合わせからお願いします。